つきのわのお散歩

木工、染織の工房「つきのわ」と柴犬「小豆」の日常

木の食器(カトラリー)のお手入れについて

 

こんばんは。ヒゲです。

本日は木製の食器(お皿、うつわ)カトラリー(スプーン、フォーク、etc)のお手入れ方法について書いてみたいと思います。

 

木のお皿、木のスプーンと一言にいっても作家さんや企業によって仕上げ方法は様々です。(ウレタン、漆、オイルなど)

ので購入する際はどういった仕上げがされているのかな?という事を何となく頭に入れておくと良いと思います。作家さんから直接購入されるときは、あわせて最適な使い方を尋ねてみるのがおすすめです。

 

つきのわで作っている食器、カトラリー類はすべてオイルフィニッシュで製作しています。オイルフィニッシュとは木に油分をしみ込ませる仕上げ方法です。塗膜はほとんどないので木の手触りをダイレクトに感じられます。

直接食べ物を乗せる、口に運ぶ製品の仕上げ方法についてはあれこれ試行錯誤を繰り返してきたのですが最近は食用油亜麻仁油、米油)と物によっては蜜蝋を混ぜて使用するのに落ち着いてきました。

 

僕の思うオイルフィニッシュの良い所は安心感と手触り、口触りのやさしさ。

安心感というのは作業する僕自身に対してと口に運ぶお客様に対して、でしょうか。いくら市販の塗料が『食品衛生法基準クリア云々』とうたってあっても成分表には嗅いだ事も食べた事もない名前ばかり。食器に使うのにはなんとなく躊躇してしまいます。

 

蜜蝋を混ぜて使う場合はオイルのみの場合より水気に強くなり、うっすら艶のある美しい仕上がりになります。ですが蜜蝋は熱で溶けてしまうので熱い食べ物を載せないサラダボウルなどに使用しています。

 

食器として使う以上『水、汚れに強い』事は重要ですがこの点はウレタン、漆に比べてオイルはどうしても劣ります。ですが食べ物の油分(ドレッシングなど)が少しずつ染み込んで、使い込んだ風合いを醸し出す木のお皿なんかを見ていると良い具合に色が落ち着いたジーンズのようですごく愛着が湧いてくるのです。(僕だけでしょうか)

 

 

さて、そんなオイルフィニッシュの食器、カトラリーの使用方法です。

 

・使用したら水、ぬるま湯で洗いましょう。

・洗剤は使ってもOKですが頻繁に使うと油分も抜けていってしまうのでどうしても気になる時に使用するようにしましょう。

・洗ったら水気を布巾などで拭き取って、乾かします。

・戸棚、引き出しにしまいこんだままにするとカビなどが生える場合もあるので注意しましょう。

 

・食べる、洗うを繰り返すとどうしても木の表面がカサついてきます。年に1度でも良いので以下のメンテナンスをしてあげると長持ちしますし、自分だけの風合いに変化していきます。

1.カサつきが気になる箇所があれば#400程度のサンドペーパーで軽くこすります。

2.食用油(何でも良いです)を少しキッチンペーパーなどにつけ全体にすり込んであげます。

おまけ

何でも良いと書きましたが食用油には乾く油と乾かない(乾きにくい)油があります。これはそれぞれの油に含まれるヨウ素価の数値によるそうです。ちなみにオリーブオイルはヨウ素価84で不乾性油とされています。乾かなくても問題はあまりありませんが持った感じがベトつきます(笑)

おすすめはクルミ油。香りも良いです。クルミの実を1〜2粒ガーゼなどに包んですりこぎなどで潰すと油が染み出してきますのでそのままスプーンやお皿にすり込みましょう。

 

木の食器って手間のかかるものだな、と思う方もいるかもしれませんが一番のメンテナンスはしまいっ放しにせず『よく使ってあげる事』ではないでしょうか。

 

良い木の食器ライフをお楽しみ下さい!